ご飯タイムは戦闘モード|“食べない期”に向き合った日々(前編)

5ヶ月ごろになると、いよいよ離乳食がスタートします。
これまで母乳しか飲まずに育ってきた我が子に「普通の食べ物」を与えることが、どこか無菌状態を壊してしまうような気がして、「明日から、明日から」と先延ばしにしていたのを思い出します。
今振り返ると、そんなに心配する必要はなかったのですが…。
さて、初期の離乳食は意外にも順調でした。スプーンを口の近くに運ぶと、我が子は迷いもなくパクッと食いついてくれたのです。
あれほどためらっていたのに、いざ始めてみたら拍子抜けするほどスムーズでした。
アレルギーも特になく、「このまま順調にいくのかも」と、私はのんきに構えていました。
ところが、そんな穏やかな食事の時間は、少しずつ様子が変わっていきます。
1歳になる少し前くらいから、食べ物を落としたり、投げたり、握りつぶしたり。
与えるままに食べていたころとは打って変わって、自由すぎる“遊び食べ”が始まりました。
最初のうちは「まあ、こんなもんかな」と淡々と片づけていましたが、毎回毎回、せっかく作ったご飯が床に落とされ、投げられるたびに、私の心は少しずつすり減っていきました。
作る気力もなくなり、市販のベビーフードをあげてみても、食べてくれません。
ああ、またご飯の時間が来る……
作りたくない……
そんな気持ちが日常の中にどんどん広がっていきます。
食事のたびに床は汚れ、テーブルはぐちゃぐちゃ。
何度も拭いて、洗って、また拭いて。子どもの服を着替えさせ、自分も着替えて。
やっと片づけが終わったと思ったら、次の離乳食のことを考えなくてはなりません。
本当に、毎日が憂うつでした。
「みんな、こんな感じなの?」
「いつかちゃんと食べる日が来るの?」
「というか、みんなどうやってるの?」
そんな思いが頭をぐるぐるし、私はスマホで検索しまくる日々を送っていました。
自治体の子育て相談にも行きましたし、保健師さんに話を聞いてもらったこともあります。
「母乳をやめたらご飯を食べるようになりますよ」
そんなアドバイスをもらいましたが、「そういうことが聞きたかったわけじゃないのに……」とがっかりしたのを覚えています。
1歳を過ぎても自由っぷりは変わらず。
成長した分だけできることも増え、スプーンを投げる、私に豆腐を投げる……。まさに戦場でした。
あまりに広範囲に汚れるので、床には毎回塗装用のビニールシートを敷き、エプロンは超ロングタイプを装備。
完全防備で、毎回の食事に挑む日々が続きました。
正直、途中で嫌になることばかりでしたが、不思議とバナナだけは最後まで食べてくれました。
我が家の鉄板フルーツ。
「この子、母乳とバナナだけで生きてるけど本当に大丈夫かな……?」と心配した時期もあります。
そんな息子も、1歳4ヶ月で保育園に通えることに。
「周りの子はちゃんと座って食べているのに、うちの子は大丈夫なんだろうか」
不安でいっぱいだった私に、保育士さんはにこやかに言ってくれました。
「大丈夫です! お友達が食べていたら、自然と食べるようになりますよ!」
……本当にそんな単純な話?と半信半疑のまま、保育園生活が始まりました。
そのなかで訪れた、ある小さな“奇跡”が、私たちのご飯時間を変えていくことになります——。
📘 後編はこちらからどうぞ:
👉 お味噌汁の奇跡|“食べない子”だった息子が教えてくれたこと(後編)